📬 ロングセラー通信
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本書は、ルイス・キャロルによる不朽の児童文学『不思議の国のアリス』のテキストに、現代アーティスト・草間彌生の作品を全編にわたって組み合わせたアートブックです。物語の挿絵という枠を超え、草間氏の代名詞である水玉や網目模様がページ全体を覆い尽くすように展開されます。これにより、読者はアリスの奇妙な冒険を追いながら、同時に草間彌生の幻覚的で強迫的なアートの世界に没入する体験をします。本書が提供するのは、古典文学のテキストを読むという行為と、現代アートを鑑賞するという行為を分かち難く融合させた、新しい形の読書体験そのものです。物語の世界観とアートが時に共鳴し、時に反発し合うことで、読者それぞれが独自の解釈を誘発される構造となっています。
本書が発売された2013年当時、アーティスト草間彌生への注目は国際的に最高潮に達していました。2012年にテート・モダンやホイットニー美術館で大規模な回顧展が開催され、国内でも展覧会が続くなど、メディアでの露出が急増。アートファンだけでなく、一般層にもその名とアイコニックな作風が広く浸透した時期であったと考えられます。このような背景の中、誰もが知る『不思議の国のアリス』という普遍的なコンテンツと、”時の人”であった草間彌生の強烈な個性を掛け合わせた本書は、一種の「事件」として受け止められました。多くの類書が物語に寄り添う挿絵を採用する中、本書はアートが物語を侵食するかのような大胆なデザインで圧倒的な差別化を実現。SNSが普及し始めた時代において、その強烈なビジュアルはシェアされやすく、アートピースを所有する感覚で購入できる「モノ」としての価値が、展覧会グッズやギフトとしての需要を喚起し、初期の売上を牽引したと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
