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本書は、唐代の能書家・褚遂良による楷書の傑作「雁塔聖教序」を学ぶための専門書です。書道学習者を対象に、石碑に刻まれた原寸大の拓本図版を掲載し、その一字一句に対応する釈文(読み下し文)と現代語訳を添えています。さらに、作品の時代背景や書風の変遷を解説するセクション、そして学習者が実践的に学べるよう、主要な文字の骨格を示す「骨書」や筆順、運筆の要点を図解するページも設けられています。本書は、単に名跡を鑑賞するだけでなく、古典の書法を体系的かつ実践的に習得することを目的とした、総合的な学習教材としての性格を持っています。
本書が1987年当時に売れた理由は、書道学習者のための「高品質かつ体系的な古典教材」という、当時ありそうでなかった需要を的確に捉えたからだと考えられます。1980年代後半は、経済的な豊かさを背景に文化への関心が高まり、書道を学ぶ層も厚くなっていました。しかし、学習者が手に取れる手本は、専門家向けの非常に高価な学術的全集か、解説が乏しい安価な拓本図版集かに二極化しがちでした。そんな中、「中国法書選」シリーズは、信頼できる専門家の解説、見やすい図版、そして手頃な価格を兼ね備えた「中間」のポジションを確立しました。特に本書が扱う褚遂良の「雁塔聖教序」は、楷書学習における必修の古典であり、多くの学習者が質の高い手本を求めていました。シリーズ全体の網羅性と信頼性が個々の巻の魅力を底上げし、多くの書道愛好家や学生にとって「待望のシリーズ」として受け入れられたと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?
![雁塔聖教序[唐・褚遂良/楷書] (中国法書選 34)](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51lnppAksGL._SL500_.jpg&w=384&q=75)