📬 ロングセラー通信
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(2016年)
本書は、フランスで開発された認知症ケアの技法「ユマニチュード」の哲学と具体的な実践方法を解説した書籍です。その核心は、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱を基本とした包括的なコミュニケーションにあります。ケアの対象者を「病気の患者」ではなく「一人の人間」として捉え、その人の尊厳を最後まで守ることを最優先の目的としています。本書では、なぜ認知症の人が攻撃的になったり、ケアを拒否したりするのかを、ケアする側との関係性の観点から解き明かします。そして、ポジティブな関係を再構築するための150を超える具体的な技術を、豊富なイラストと共に紹介しています。単なる介護マニュアルではなく、ケアの本質とは何かを問い直す、思想書としての側面も持っています。
本書が発売された2016年当時に売れた背景には、深刻化する介護問題への社会的な危機感があったと考えられます。団塊の世代が後期高齢者となり始める「2025年問題」が現実味を帯び、認知症高齢者の増加と介護者の疲弊が大きな社会課題として認識されていました。多くの家族や介護専門職が、意思疎通の難しい認知症ケアに悩み、「どうすればいいのか」という具体的で効果的な方法論を切実に求めていたのです。当時の類書が精神論や心構えに留まるものが多かった中で、本書は「正面から見る」「ゆっくり、低い声で話す」といった、誰でもすぐに実践できる具体的な「技術」を体系的に提示した点で画期的でした。また、NHKスペシャルなどのメディアでその劇的な効果が映像と共に紹介されたことも大きく、映像で見た感動の背景にある理論と技術を知りたいという受け皿として、本書は多くの読者を獲得したと推察されます。
では、なぜ売れ続けたのか?