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本書は、3歳から7歳の子供を対象としたピアノ導入教本です。タイトルの通り「うた」と「絵本」の要素を全面的に取り入れているのが特徴で、難しい五線譜を使わず、鍵盤の絵や指番号、リズムを表すイラスト(リンゴなど)を用いて、音楽の基本的な概念を直感的に学べるように設計されています。内容は「みぎて」の演奏に特化しており、まず1本の指で「ド」の音を弾くことから始まるなど、徹底したスモールステップで構成されています。収録曲は子供たちが親しみやすい童謡が中心で、歌いながらメロディーやリズムを自然に体得することを目的としています。ピアノを「弾く」ことの前に、音楽を「楽しむ」体験を優先し、子供が自発的にピアノに向かえるような工夫が随所に施されています。
本書が発売された1998年頃は、幼児教育への関心が高まり続ける一方で、従来の画一的で厳しいピアノ教育に対する疑問も生まれていた時代と考えられます。多くの親は、子供に音楽を学ばせたいと願いつつも、難解な楽譜や厳しい練習で音楽嫌いになってしまうことを恐れていました。当時の標準的な教本であったバイエルなどは、幼児にとって譜読みのハードルが非常に高く、挫折の大きな原因となっていました。このような状況下で登場した本書は、「絵本」「うた」「みぎてだけ」という徹底的にハードルを下げたアプローチで、この課題に正面から応えました。譜面を読むのではなく、絵を見て、歌って、指を動かすという直感的で遊びに近い学習方法は、「とにかく楽しくピアノを始めさせたい」という親の切実なニーズに合致したと考えられます。既存の教本とは一線を画す「挫折させない」という明確なコンセプトが、多くの家庭やピアノ教室に受け入れられ、発売当初のヒットにつながったと推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

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