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本書は、小野不由美による人気ファンタジー小説「十二国記」シリーズの一作です。物語の舞台は、王と、王を選び補佐する神獣・麒麟によって治められる十二の国々からなる異世界。本作では、戴国において王・驍宗と麒麟・泰麒が共に行方不明となり、国が極度の混乱と荒廃に陥っている状況が描かれます。主人公である慶国の王・中嶋陽子や、雁国の王・尚隆をはじめとする周辺国のキャラクターたちが、戴国の惨状を知り、その民を救うために国を越えて行動を起こします。王の不在が国家と民に何をもたらすのか、そして絶望的な状況の中で人々はいかにして希望を見出そうとするのかを、複数の視点から重層的に描く群像劇となっています。
本作の文庫版が発売された2014年当時に売れた要因は、長年のファンが待ち望んだ「待望の刊行」であった点に集約されると考えられます。2012年から新潮社による新装版シリーズの刊行が始まっており、既存のファンによる再評価と、新たな読者層の獲得が同時に進んでいました。このムーブメントの中で、シリーズの物語における大きな転換点であり、ファンからの人気も極めて高い本作の文庫化は、まさに満を持しての登場でした。講談社版で物語を追っていた熱心なファン層の購入はもちろん、新潮文庫版からシリーズに入った新規読者が物語を追いかける上での必読書として、強い需要が存在したと推察されます。単なるファンタジーに留まらない、リーダー不在の組織崩壊という社会派なテーマ性が、大人の読者層の知的好奇心を刺激し、ジャンルの垣根を越えて支持を広げたことも、当時のヒットを後押しした要因の一つでしょう。
では、なぜ売れ続けたのか?
