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本書は、大乗仏教の瑜伽行派(ゆがぎょうは)が確立した唯識思想について、その成立背景から核心概念までを網羅的に解説する入門書です。唯識が説く「万物はただ識のあらわれにすぎない(唯識無境)」という世界観を、『解深密経』や世親(ヴァスバンドゥ)の思想を中心に解き明かします。特に、深層心理の領域にあたるアーラヤ識や末那識といった独自の概念が、どのように私たちの認識や自己意識を形成しているのかを、図解を交えながら丁寧に論じます。「心とは何か」「世界をどう見るか」という根源的な問いに対し、唯識思想が提供する精緻な心の分析モデルを、現代人にも理解可能な形で提示することを目的としています。
2016年頃は、マインドフルネスの流行を背景にビジネス界隈でも「心」への関心が高まり、その思想的源流を知りたいという知的なニーズが顕在化した時期であったと考えられます。既存の仏教書が、専門的で難解すぎるか、逆に表層的で物足りないかで二極化する中、本書は専門家が本格的な内容を一般向けに解説するという「学術的入門書」としての独自のポジションを確立しました。唯識が提示する、心理学や脳科学にも通じる精緻な心の分析モデルが、科学的な知見に慣れ親しんだ現代読者の知的好奇心を強く刺激したと推測されます。単なる精神論やハウツーではない「知の探求」として、自己の内面を見つめ直したいと考える層に響いたことが、発売当初のヒットにつながったと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
