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『ねないこ だれだ』は、せなけいこによる乳幼児向けの絵本です。夜9時になっても寝ないでいると、おばけの世界に連れて行かれてしまう、というシンプルな物語が描かれています。時計が時刻を告げる場面から始まり、「こんな じかんに おきてるのは だれだ?」という問いかけが繰り返されます。ふくろう、くろねこ、どろぼうといった夜行性のキャラクターが登場した後、最後にまだ起きている「おんなのこ」が、おばけに連れ去られてしまいます。本書は、貼り絵を用いた独特のタッチが特徴で、温かみと同時に少し不気味な雰囲気を醸し出しています。特定の教訓を押し付けるというよりは、夜更かしという子どもの日常的な行動をテーマに、親子のコミュニケーションを促すことを目的とした作品です。
本書が1969年発売当初に広く受け入れられた理由は、当時の育児における具体的なニーズに対し、斬新なアプローチで応えた点にあると考えられます。高度経済成長期を経て核家族化が進む中、家庭内での「しつけ」や「寝かしつけ」は親にとって切実な課題でした。多くの絵本が明るく楽しい世界観を描く中で、本書は「おばけに連れて行かれる」という「適度な恐怖」を導入しました。この少し怖い要素が、子どもに早く寝ることを促す効果的なフックとして機能したと推測されます。また、手作り感のある貼り絵のビジュアルは、他の印刷物とは一線を画す独自の存在感を放っていました。温かみと不気味さが同居するその作風は、子どもの記憶に強く残りやすかったでしょう。さらに、「とけいがなります ボン ボン ボン」といったリズミカルな反復構造は、読み聞かせに適しており、親が子どもとのコミュニケーションツールとして使いやすい設計だったことも、初期の成功を後押しした要因と考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
