📬 ロングセラー通信
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本書は、ウクライナの民話を基にした絵本です。雪の降る森の中でおじいさんが落としていった片方の手袋を舞台に、物語は展開します。最初に「くいしんぼうねずみ」が手袋を見つけて住み着くと、そこに「ぴょんぴょんがえる」「はやあしうさぎ」といった動物たちが次々とやってきます。後から来た動物が「いれて」「いいよ」と問答を交わしながら仲間に入っていくという、定型的なやり取りが繰り返されます。ページをめくるごとに動物は大きくなり、手袋は極限まで膨れ上がっていきます。最終的に、小さなくしゃみ一つをきっかけに手袋は弾け飛んでしまい、動物たちは森へ帰っていくという結末で締めくくられます。協力や共存の様子と、その限界点をユーモラスに描いた作品です。
本書が1965年の発売当初に広く受け入れられた理由は、当時の絵本市場における独自性と、時代的なニーズとの合致にあったと考えられます。まず、エウゲーニー・M・ラチョフによる挿絵は、当時の日本の絵本とは一線を画すものでした。民芸品を思わせる温かみと、動物たちの生き生きとした表情を両立させた独特の画風は、読者に新鮮な視覚体験を提供し、強い印象を残したと推測されます。また、物語の構造もヒットの要因と考えられます。動物が登場するたびに繰り返される「入れて」「いいよ」というリズミカルな定型句は、子供たちが物語の展開を予測しやすく、読み聞かせに参加する楽しみを生み出しました。高度経済成長期を背景に、子供への教育や文化的な投資への関心が高まっていた時代、海外の質の高い物語を求める親のニーズに、本作の持つ異国情緒と普遍的な物語性が見事に応えた結果、初期の成功につながったのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
