📬 ロングセラー通信
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主人公の男の子が、毎日入る「おふろ」をテーマに奇想天外な空想を繰り広げる物語です。物語は、男の子が服を脱いで普通のお風呂に向かう場面から始まります。しかし、ページをめくると、そのお風呂は迷路のように入り組んでいたり、巨大なプリンでできていたり、さらには走る電車そのものがお風呂になっていたりと、子どもの夢が詰まったユニークな空間へと次々と変化していきます。作者の鈴木のりたけ氏ならではの詳細で遊び心あふれるイラストが、それぞれの「おふろ」の魅力を最大限に引き出しています。日常的な行為である「入浴」を、無限の可能性を秘めた冒険の舞台へと変える、想像力を掻き立てる一冊です。
本書が発売された2010年頃は、「イクメン」という言葉が流行するなど、父親の育児参加への関心が高まっていた時代でした。お風呂は父親が子どもと触れ合う重要な時間であり、その時間をより楽しくするコンテンツへの需要があったと考えられます。当時の「お風呂絵本」は、生活習慣を教える教育的なものや、温かい日常を描くものが主流でした。その中で本作は、「お風呂」という日常的なテーマを使いながら、中身は迷路やプリン、電車といった奇想天外な空想の世界に振り切るという、エンターテイメント性の高いアプローチを取りました。この「教育」から「純粋な楽しみ」への転換が、既存の絵本にはない新鮮な驚きを読者に与えたと推察されます。また、細部まで描き込まれた遊び心のあるイラストは、子どもだけでなく読み聞かせをする大人も夢中にさせました。親子で一緒に笑いながら想像力を広げられるという体験価値が、当時の新しい子育て観に合致し、口コミを通じて支持を広げたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?

(2010年)