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本書は、中国周代の軍師・太公望呂尚が著したとされる古典兵法書『六韜』を、現代の読者に向けて読みやすく翻訳・解説した一冊です。『六韜』は、文官の道を示す「文韜」、武官の道を示す「武韜」、将軍の戦略を説く「龍韜」、戦術を詳述する「虎韜」、特殊部隊の運用を論じる「豹韜」、歩兵の訓練と運用を語る「犬韜」の六巻から構成されています。本書は、この六つの視点からなる組織論や戦略論を、難解な古典の言葉ではなく、平易な日本語で解き明かしています。単なる翻訳にとどまらず、各章の要点や背景を解説することで、古典兵法に初めて触れる読者でも、その戦略的な思考のエッセンスを理解し、現代の組織運営や人間関係に応用するための視点が得られるように構成されています。
本書が発売された2005年頃は、ITバブル崩壊後の構造改革を経て、多くの企業が新たな成長戦略を模索していた時代と考えられます。終身雇用が揺らぎ、個人のキャリア戦略やリーダーシップへの関心が高まる中、ビジネスパーソンは即戦力となる思考法を求めていました。こうした状況下で、『孫子』に代表される古典兵法をビジネスに応用する流れは既に存在していましたが、本書はやや専門的で具体的な『六韜』に焦点を当てたことで差別化を図ったと推測されます。『孫子』が普遍的な戦略哲学であるのに対し、『六韜』は文官・武官・将軍といった役割別の具体的な行動指針を含むため、読者が自身の立場に当てはめて考えやすいという利点がありました。ビジネスパーソンからの信頼が厚い出版社から、手軽に学べる新書サイズで提供されたことも、多忙な読者層のニーズと合致し、発売当初の支持を集める要因になったと考えられます。
では、なぜ売れ続けたのか?
