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本書は、ファンタジー小説「十二国記」シリーズのイラストレーター・山田章博による公式画集の第一弾です。新潮文庫版として刊行されたシリーズの表紙や挿絵を中心に、講談社X文庫ホワイトハート版の初期作品、雑誌や関連グッズのために描かれたイラスト、さらには未公開のラフスケッチや線画まで、2014年時点でのビジュアルワークを網羅的に収録しています。各イラストには作者自身によるコメントが添えられており、制作の背景や意図を知ることができます。カラー画稿だけでなく、山田章博の真骨頂ともいえる緻密で流麗な線画も多数掲載されており、壮大な「十二国記」の世界観が、どのようにビジュアルとして構築されてきたかを辿ることができる一冊です。
本書が2014年当時に売れた最大の理由は、長年待ち望まれていた「初の公式画集」という圧倒的な希少性にあったと考えられます。1992年のシリーズ開始から20年以上、アニメ化も経て熱心なファンベースを築き上げてきたにもかかわらず、山田章博のイラストをまとめて鑑賞できる書籍は存在しませんでした。そこへ、2013年の12年ぶりとなる新作長編『丕緒の鳥』刊行でシリーズへの関心が再燃した絶好のタイミングで発売されたことが、ファンの渇望を爆発させたと言えるでしょう。また、単にイラストを並べるだけでなく、旧版と新版のイラストを網羅し、未公開の線画や作者コメントを加えることで、「完全版」「決定版」としての資料的価値を付与しました。これにより、既存ファンにとって「買わない選択肢がない」マストバイアイテムとしての地位を確立したことが、発売当初の成功の要因と推測されます。
では、なぜ売れ続けたのか?

(2014年)