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本書は、日向夏による後宮ミステリーシリーズの第5巻です。物語の舞台は、架空の中華風帝国。主人公は、薬と毒に関する豊富な知識を持つ元薬師の少女・猫猫(マオマオ)です。彼女は、後宮で起こる様々な事件や謎を、その類稀なる観察眼と薬学の知識を駆使して解き明かしていきます。
第5巻では、猫猫は一時的に後宮を離れ、生まれ故郷である花街に戻ります。そこで彼女は、新たな依頼や不可解な事件に巻き込まれながら、自身の出自や、軍師である羅漢との複雑な関係に深く迫っていくことになります。後宮内の謎解きに加え、主人公の過去という大きな謎が物語の主軸となる巻です。
本書が発売された2016年頃は、「小説家になろう」発の書籍化がブームとなり、特に異世界転生ジャンルが市場を席巻していました。このような状況下で、『薬屋のひとりごと』がヒットした背景には、主流ジャンルとの明確な差別化があったと考えられます。
第一に、特殊能力ではなく「薬学」という現実的な専門知識で謎を解くという設定が、多くのファンタジー作品の中で際立った独自性を放っていました。論理的な謎解きプロセスは、ミステリーファンにも訴求力があったと推測されます。
第二に、主人公・猫猫のキャラクター造形です。彼女は権力に媚びず、自らの知識と才覚で道を切り開く自立した女性として描かれています。このクールで現実的なヒロイン像は、従来の受け身なヒロインとは異なり、特に同性からの強い共感を獲得したと考えられます。恋愛要素を前面に出しすぎず、仕事人としての側面を強調した点も、より広い読者層に受け入れられた要因ではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?