📬 ロングセラー通信
毎日1冊、10年売れ続ける本の秘密をお届け。
無料・いつでも解除可能
本書は、哲学者・今道友信が提唱する新しい倫理学「エコエティカ」の構想を論じた一冊です。「エコエティカ」とは、ギリシャ語の「オイコス(家・生息地)」と「エートス(倫理・習慣)」を組み合わせた著者の造語であり、環境と人間の共生のための新たな行動規範を意味します。本書は、環境問題を単なる科学技術や経済政策の対象としてではなく、人間の生き方そのものに関わる哲学的な課題として捉え直すことを試みます。自然を支配・利用の対象と見なしてきた西洋近代の思想を批判的に検討し、自然の「尊厳」や「美」を重んじる美学的な視点から、我々が培うべき新しい倫理のあり方を提示しています。
本書が発売された1990年頃は、地球温暖化やオゾン層破壊といった地球規模の環境問題への関心が国際的に高まり始めた時期でした。この時代背景の中、多くの読者は環境問題に関する科学的な解説や政治的な提言だけでなく、より根源的な思想や哲学を求めていたと考えられます。『エコエティカ』は、こうした知的なニーズに応える形で登場しました。当時の環境関連書の多くが技術論や告発ルポに留まる中で、本書は「美学」と「倫理学」という人文科学の視点から環境問題を捉え直すという、際立ってユニークなアプローチを提示しました。大量生産・大量消費社会であったバブル経済末期の日本において、西洋近代思想を批判し、自然との共生という新しい生き方を説く本書のメッセージは、多くの読者にとって新鮮な知的刺激として受け入れられたのではないでしょうか。
では、なぜ売れ続けたのか?
